文化への関心と尊重 #2
河原一久
著書に『読む寿司』(文芸春秋)、『スター・ウォーズ論』(NHK出版)、『スター・ウォーズ・レジェンド』(扶桑社)など。
監訳に『ザ・ゴッドファーザー』(ソニーマガジンズ)。
財団法人通信文化協会『通信文化』に食に関するエッセイ「千夜一夜食べ物語」を連載中。
日本ペンクラブ 会員。
フランスやアメリカで毎年開催される「ジャパンEXPO」では日本のアニメ、コミック、ゆるキャラ、アイドルなども精力的に取り上げられてきているが、日本人が無関心だったり、バカにしているようなジャンルのものでも、ちゃんと文化として見ているところはさすがだなぁと唸るところが多い。
AKB48が日本を代表するアイドルグループとして招待されたのは、「会いたかった」で日本でブレイクするよりも全然前のことだったし、北野武さんがフランス政府から勲章を授与された時も、映画監督の「北野武」ではなく、コメディアンの「ビートたけし」としてで、「笑い」というものの文化的価値を正しく評価し、守り続けてきたフランスらしいなと思ったものだった。
こうした現代の日本の文化の中でも、アニメーションが際立って世界から注目されているのは、やはり質の高さによるものなのだと思う。
それは例えば宮崎駿さんの作品のように芸術的観点や映像作品としてのポテンシャルの高さに対する評価だけでなく、より子供向けのロボットものや「セーラームーン」ンのような少女向けアニメの娯楽性も高く評価されているのだ。
そういえば以前こんなことがあった。
日本製アニメーションのことを総称して「ジャパニメーション」と海外の人たちが呼んでいたことがあり、それを日本のメディアも誇らしげに報じたりしていたのだが、何年かしてこの「ジャパニメーション」という言葉消え去ってしまっていた。
今では日本製アニメーション作品のことは単に「ANIME」と呼び、それ以外のアニメーション作品のことは普通に「ANIMATION」と表記すように変わっていたのだ。
個人的には「ジャパニメーション」という造語はなかなか秀逸だと思っていたので少し残念に思っていたのだが、この言葉が消えた背景にはまったく驚きの理由があったのだった。